
楽譜とヴィオラ・ダ・ガンバを持つ女性と猫
背景は、崖下から斜め下方が遠望できるような深い森らしい。右手をヴィオラ・ダ・ガンバの上に置き、楽譜を見ている若い女性と太った猫。蛇を踏んだ脚を交差させ、左手に高く持つ鏡を見つめる憂い顔の女性とその後ろの鹿、鏡に映っているのは頭蓋骨。2枚は連作として描かれている。
バルドゥングは「死と乙女」「魔女」や神話の女神たち、アレゴリーの女性像などを描いているが、なかでも特異な人物像。人文主義的思想を組み合わせた寓意表現ともされるが、定まった解釈はない。楽譜を見る女性を粘液質、鏡を見る女性を憂鬱質として、別に多血質と胆汁質を示す画像があったとする説、占星術から、楽譜の女性が金星の女神ヴィーナスの、鏡の女性が土星神サターンの支配を示し、さらにそれぞれが自由七学芸の「音楽」「思慮」を表しているとする説もある。
前年に出版された、デューラーの美術理論研究「人体均衡論」とはまったく別の世界。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
1520年代
ハンス・バルドゥング・グリーン
楽譜とヴィオラ・ダ・ガンバを持つ女性と猫
蛇を踏まえて鏡を持つ女性と鹿
1529年 板 油彩
82×35.9cm 82.5×35.5cm
ミュンヘン アルテ・ピナコテーク
バルドゥングは「死と乙女」「魔女」や神話の女神たち、アレゴリーの女性像などを描いているが、なかでも特異な人物像。人文主義的思想を組み合わせた寓意表現ともされるが、定まった解釈はない。楽譜を見る女性を粘液質、鏡を見る女性を憂鬱質として、別に多血質と胆汁質を示す画像があったとする説、占星術から、楽譜の女性が金星の女神ヴィーナスの、鏡の女性が土星神サターンの支配を示し、さらにそれぞれが自由七学芸の「音楽」「思慮」を表しているとする説もある。
前年に出版された、デューラーの美術理論研究「人体均衡論」とはまったく別の世界。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
1520年代
楽譜とヴィオラ・ダ・ガンバを持つ女性と猫
蛇を踏まえて鏡を持つ女性と鹿
1529年 板 油彩
82×35.9cm 82.5×35.5cm
ミュンヘン アルテ・ピナコテーク
